「設計料についてW〜設計入札について」
最近行政庁の多くは設計物件を入札制度にて設計者を決定しています。行政庁の言い分も良くわかります。市民の税金で事業を行っている以上、出来るだけ安価で質の良い事業を構築しなければならず、且つ公正な競争を行わせるという大義名分があるからです。設計という作業を技術的な面のみで捉えた場合においては、それもある程度意味を為すでしょう。しかし設計とはそれだけではない部分があります。(前章参照)また工事の入札においては、基準となる設計図書があるので、その内容は明確になりますし、手抜き工事などについてもはっきりと判るようになっています。しかし設計とは、これからその内容を決めようというものです。ですからその内容はまだ明確になっておらず、設計の内容や現場の状況からその作業量が測りし得ない場合が多々ある事は想像できます(実際あります)。新築工事であればある程度の目安がつきますが、改修工事となるとなかなかそれを判断する事は難しくなります。
入札をする以上その仕様を明確にし、公正な条件を発注者側が行わなければならないのに、その部分をあやふやにして、金額だけ競わせるという名目入札を行っている事に問題があると思います。ところがその設計条件を明確にしようとすると、それこそが設計作業という事になり、ややこしい問題になってしまいます。ということで私は設計入札(特に小規模の改修工事)には反対です。発注者側にとっては面倒な手間が省けて良いかもしれませんが、設計者にとって何もいい事が無いのが現実であると思います。一般市民の方は「少しでも安い方がいいやん」と言われると思いますが、もし皆さんの給料が入札になったらどうします?
平成16年3月8日
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