「設計料についてV〜設計費のディスカウントについて」
設計という作業は、技術的な面と芸術的な面の2面性があります。技術的な面で言えば、安全で安心な建物を作るという面での技術力が必要なのは言うまでもありませんが、クライアントの求める要望を上手く引き出し、纏め上げるという技術も必要です。また芸術的な面で言えば、建物に求められるのは性能や機能だけではありません。それらが組み合わさって出来る空間の雰囲気であるとか快適性であるとか、また心地良さなど技術的な面だけでは言いあらわす事のできない要素も多分にあります。
では設計料を決める或いは払う事に対してどの様に決めていくのが合理的なのか。技術的な面で言えば、ある程度の技能を持った技術者が担当をすればどの程度の作業量があり、人件費及び経費の計算を行う事は可能です。しかし芸術的な面にはその指標は当てはまりません。絵画などでも「号いくら」というようなランクがあるように、その人の感性や芸術性に対しての評価がなされています。そこには「もっとまけて」なんて言う感覚は意味がありません。あくまで売り手市場の中で言い値になっています。(といってもその世界に見を置いているわけではないので、「そんな身分になるのはほんの一部で通常は買い叩かれているんだ」という声もあるかもしれませんが)
ところで設計の世界では、やはり設計料もディスカウントの世界になっています。巻き込まれたくなくても巻き込まれてしまうのが現実です。
最近ある行政庁の仕事で建築相談会というのを担当するようになりました。その費用の話しになった際に、「一級建築士の方には¥8,000〜\10,000/回(半日)支払っています。」とのこと。ところで弁護士の方には\30,000/回(半日)だそうです。どう思います?
対応策として、我々は建築相談に来られた方には、弁護士の1/3しか喋らない事にしました。(ウソですけど)
平成16年3月1日
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